趣味を持つという異常さ

履歴書を書くときに必ず記入する欄がある「趣味」。結局は話題に困ったときの話のタネとして使いたい面接者のための逃げ道で、「その他に何に興味をもっていますか」というイメージに見栄えの良い包装をしたものに過ぎません。

この「趣味」という言葉ほどギャップを感じるものはありません。私の感覚でいえば、日本人はまず一つも趣味を持ちません。趣味というのは気力体力時間金銭をかなり大きな塊で費やすもので、ライフスタイルに甚大な影響を与えるものです。勤勉で周囲との調和を重んじる日本の人々は、こういったものを「道楽」などと呼んで、あまりポジティブには捉えてきませんでした。最近では「オタク」でしょうか。

趣味人、道楽者、オタクになってしまった人たちは、趣味のないライフスタイルの組み立てをあまり知らず、世間でいう「趣味」が自分たちのいう「趣味」と同じような意味と誤解しがちです。世間の人たちは趣味人の「趣味」が自分たちの余暇の楽しみと同じ様なものと考えがちです(道楽者は余暇に趣味をするのではなく、趣味の為に余暇を作ってます)。

そろそろ日本も豊かになったから、ちっとは趣味を持つと良いと思いますが、道楽者各位は当分は異端という意識を忘れない方が良いでしょう。