お客さまは神様でしょうか

「お客様は神様です」というフレーズは、日本語において広く流通しているものの、誤解されている点が多々ある語句です。このため、教養あらんとする人は利用を避ける事が推奨されます。平たく言うと「このフレーズを使う奴はまず間違い無くバカだから、おらは相手にしない」ということであり、「バカに見られたくなければ使わないのが吉」ということです。

端的にいえば、売り手と買い手の関係性において、買い手(お客様)が上位に立つのは、需給関係が供給過剰になっている環境に限定されたものにすぎません。たとえば「砂漠の水売り」を想像してみてください。そこで買い手が神様のように振る舞えますか?

かように「お客様は神様です」というフレーズは、まるで絶対の真理であるかのように主張できるものではなく、所詮はちょっとしたパラメータが動けば成立しなくなる特殊解なのです。こんな簡単なことも理解せずに聞き慣れたフレーズだからきっと正しい、と安易に使う輩を相手にしても時間の無駄です。もちろん、慎重に彼我の関係を見計らって狡猾にこのフレーズを使う厄介な買い手ももしかしたら居るかもしれませんが……。

商売上で供給過剰な商材を扱う場合でも、表面上は失礼にならない範囲での最低限の態度を維持しつつ、真面目に相手をするのは避けるでしょう(他の客に資源を投下しましょう)。

バカ判定されない様、使用は控えた方が得策です。

ついでに言えば、原典であろう大芸人の三波春夫氏は、このフレーズは芸事でのフレームワークであり、一般商取引を想定したわけではないという主旨の発言をしてたりします。